邪神たちの楽園 立ち読み
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は地味な社会部であった。  それだけに、リカはこのネタに飛びついた。いや、■けていたといってもいいのかもしれない。  話は前夜にさかのぼる。  前日の日曜日、彼女は旧知の友人の結婚式に出かけ、そこで、小森剛志に会ったのである。  小森は彼女の大学時代のゼミの後輩で、「剛志」などという名前とは裏腹に少し頼りないやつだったが、どういうわけか、女性ながらも空手の黒帯でもあるリカのことを「兄貴!」と呼び、いつも、まとわりついていた。  実際、酔いつぶれたこいつを何度、家まで送り届けたことか。リカ自身、細い体の割には自分でも力はある方だと思っていた。  あるいは、彼には、リカに対する恋慕の情があったのかもしれないが、あいにく、リカにはそれはなかった。 あくまで、可愛い後輩以外の何ものでもな04

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