プラハの夜 立ち読み
3/4

ふうらいぼうめんど「観光と言えば観光ですけれども、友人を訪ねて参りましたの」と上品に、そして少し、ぶっきらぼうに答えた。「私は見ての通りの風来坊でして」とまで言うと、女は面倒くさそうに露ろこ骨つに車窓の方向へと顔を振り向けた。のを期待するのはいかにも、男の独りよがりのようにも思え、私は口をつぐんだ。が、今更、他の席に移ることも憚はばられたので、今更ながらに、隣に座ったことを後こう悔かいした。「申し訳ないけど」これを受けて私が、確かに、こういうシチュエーションで何かシンドロームめいたも私としても必要以上に警戒されるのも、決して本意ではなかった第一章 乗り合わせた女05   

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る