大規模修繕工事新聞2020年4月号(第124号)
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「施工不良、管理組合負担は納得できない」不法行為への損害賠償求め、提訴に踏み切る闘!え◇◇2<参考>裁判官による論文「外壁タイルの剥離と施工者の責任」施工後の期間5年超~10年以内10年超~15年以内15年超~20年以内 近年、築10年を経過したマンションにおいて、外壁調査を行ったり、大規模修繕工事の検討をしている際にタイルの浮きなどが多数発見されて、紛争に発展するケースが増えている。 2014年、築10年・32戸のマンションで、管理会社のフロント担当が大規模修繕工事の提案として建物調査診断報告書を理事会に提出した。組合運営はこれまでほとんど管理会社任せで、輪番制の理事会も年に3、4回喫茶店で開く程度。役員は理事長、副理事長、監事の3人。先送りされた次年度の理事会が自身の負担から逃れるように修繕委員会のメンバーの募集を開始した。 そこで組合員のA氏が、以前から疑問を持っていた思いを確認するため修繕委員に立候補した。ただし、修繕委員会と言ってもA氏の他は高齢の元理事長、元監事の奥さんが名前を並べただけ。A氏の疑問やモヤモヤは自身で解消するしかなかった。 A氏は戸建てやアパート中心の建設業者に勤める会社員。一級土木施工管理技士の資格も持っている。そんなA氏が抱いていた疑問とは「管理会社がマンションの保険を使ってこそこそ修理しているじゃないか」ということだった。 「天井の(仕上げ材として用いられる)リシンが剥がれて落ちているのを台風の後に保険適用で部分的に修補していたようだった」 A氏は疑問やモヤモヤの原因が施工不良にあるのではないかと思うようになっていく。 さらに管理会社の大規模修繕工事の見積もり額が修繕積立金の残高約6,000万円とほぼ同じ額で提出されたことで、モヤモヤがより深く刻まれた。管理会社はデベロッパーの子会社。「すべて言いなりでは、お金もすべてむしりとられてしまう」。 A氏は管理会社に頼らず、大規模修繕工事の情報を得るため、インターネットで情報収集をはじめた。そこで全国建物調査診断センターのホームページにヒット。同センターに電話相談し、マンション大規模修繕工事の専門家であるコンサルタントを紹介してもらうことを選択した。 そして、このコンサルタントと2人3脚で大規模修繕工事の計画を立て、理事会の諮問機関である修繕委員会としての立場をわきまえながら、大規模修繕工事の実施へと進めていった。 「こんな施工不良をなんで管理組合負担で修繕しなきゃならないのか納得できない」。A氏がコンサルタントにそう話したのは、大規模修繕工事で足場仮設工事を行い、改めて調査をした結果、あまりにもタイルの浮きが多いことが判明したときだった。 コンサルタントは「これはちょっとひどすぎる。1回目の大規模修繕工事だと、タイルの浮きが3%あることはほとんどない」と言い、同マンションではそれが5%~10%あるのではないかと推測した。「これは新築時の施工が悪い」。※<参考>裁判官による論文「外壁タイルの剥離と施工者の責任」 とにもかくにも大規模修繕工事ははじめてしまった。A氏が管理会社に施工不良を訴えようとも、工事を途中で止めることはできない。 また、瑕疵担保期間の10年も過ぎている。デベロッパーはアフターサービス担当が出てきて、口八丁、まったく相手にもされなかった。 管理組合が施工瑕疵や施工不良を訴えても、建築紛争調停など話し合いで落としどころを見つけて解決するのが一般的だ。管理組合が訴訟に踏み切れば公示されることになる。 デベロッパーの担当者が言う。「無理して裁判沙汰にしたら、資産価値が下がりますよ」。5年以内浮き・剥落の割合0%以上3%以上5%以上10%以上判例タイムズ1438号マンション管理組合奮闘記Data. 3
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