大規模修繕工事新聞2020年2月号(第122号)
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闘!え大規模修繕工事の成功から管理組合運営の適正化へ◇2大規模修繕工事金額比較表 「あなたの話は本当のこと?」。2013年、第1回大規模修繕工事を前に、管理会社フロントマンが修繕委員会発足の提案をしてきた。後日、初の修繕委員長になったS氏がそのフロントマンに発した言葉である。 「大規模修繕工事とはですね…」「私たちがしっかりサポートしますのでご安心を」。フロントマンの上から目線のやや強気なコメントに対し、疑問が浮上してきた。 この時、管理組合は13期目に入っていたが、これまで理事会はほぼ開催されず、何ごとも管理会社に任せっきりの状態だった。 ところがS修繕委員長は「私は何ごとも納得いくまで調べなければ気が済まない性格」と自称。長期修繕計画書、過去の修繕履歴、管理費や修繕積立金の額、設計図書等々の把握を行ったところ、「え?そうだったの?」「それは知らなかった」というような実態が判明してきたという。 管理会社への不信が大きくなりつつあったが、修繕委員会の当初の目的は第1回大規模修繕工事に向け、「限られた修繕積立金をどう有効に使うか」ということにある。 そのように考えはじめた修繕委員会で、修繕積立金の資金計画における経常的な修繕項目と計画的修繕項目への仕訳から進めた。まず、各仕訳項目の見積書を管理会社へ依頼した。しかし、出てくる見積もりはすべて高額であると感じた。 管理会社の見積もりは、修繕積立金をほぼ全額大規模修繕工事に使い切る提案。「こんなに高いのでは日常の小さな補修どころか、大規模修繕工事も無理ではないか」―このため、修繕委員会での話し合いの中から、管理会社を通さず、各施工会社から直接、見積もりを取得して比較検討することになった。 「相見積もりは管理組合としてはじめてのこと。でも比工事内訳仮設工事塗装改修タイル壁改修シーリング鉄部改修防水その他廃材処理諸経費合計較できた金額の差にみんな、目が点になりましたよ」とS修繕委員長。「管理会社に任せっきりにすれば、中間マージンが入る。こうなるのは当然のことなんだ」と気づいたという。 2014年秋、大規模修繕工事は管理組合(修繕委員会)が各修繕部位の施工会社と直接契約し、必要な工事をしっかり行いながら、不必要な工事をなくし、工事費を管理会社のお金を使い切る提案から約4割減で実施した。さらに一般的な大規模修繕工事のほか、共用部分電灯のLED化、受水槽方式から直結給水化、受水槽の空いたスペースの電動式自転車置場への変更、BS/CS110°アンテナの設置等の工事を行うことができた。 S修繕委員長はこう話す。「誰一人、管理会社の提案内容に疑問を持たなかったら、組合員が切望したことに耳を傾けなかったら、このような大規模修繕工事は行えなかったかもしれません」。 大規模修繕工事を成功した管理組合が次に取り組んだのが管理組合会計の正常化(管理委託管理会社4,85023,27000012,32000040,440A社B社1,1156,5655,3993,993012,8232,6325501,4202,0223,6005445,63605,5684,86303,78534,49726,018(単位:千円)マンション管理組合奮闘記Data. 2

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