大規模修繕工事新聞2020年1月号(第121号)
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◇4オン制度は、依頼している管理会社や設計コンサルタントとやり合うだけの知識と見識と実績がなければできないものです。垰下氏:私は2回ほど全建センターのセミナーに参加しているんですよ。ただ、マンションに帰って、理事や修繕委員にトータル・マネジメント方式、セカンド・オピニオン制度を説明するというのは結構難しいんです。 できれば全建センターで説明できる人を増やしてもらって、もっと普及してもらって、場合によっては2回3回マンションに来てほしいと思います。それが可能であれば、私はこの方式絶対いいと思うのですよ。 だから、全建センターはメンバーを増やして、地域に派遣して、2回でも3回でも「理解していただけるのならどこでも行くよ」という形になるのが一番いいと思います。佐藤氏:トータル・マネジメント方式、セカンド・オピニオン制など、全建センターの活動を理解してもらう過程がまだまだという話、理解してもらうことに時間がかかるというのがデメリットといえるようですね。 我々のセミナーも回を重ねて、だいたい今100人を超える参加があり、それ以外にも随時、メールとか電話での相談があります。 このような問題意識を持った住民の芽をできるだけ育てて、修繕計画・維持管理を住民の手に取り戻す、主体性を取り戻す、そのために仕組みとして必要であれば、トータル・マネジメント方式やセカンド・オピニオン制度など、全建センターとしても管理組合を助けていくメニューについて、もっと広く普及させることを検討していきたいと思います。淵上氏:管理組合のみなさんのほうでもセミナーには仲間を連れだって来てほしいです。セミナー等の勉強会に1人だけ聞きに行って、それを理事会で説明するにしても言葉足らずになってしまいます。 同じ管理組合からできれば2人以上くらいで参加して、情報を共有できれば理想です。共通の認識ができて、勉強会・説明会などを企画してもらえると、全建センターからの派遣もしやすくなります。大切なのはみんなが共有する感覚「自分たちの住まいを良くしていこう」垰下氏:マンションに住んでいる人に言いたいのは、「いかに自分の家を良くするか」をみんなで考えましょうということです。いかに無駄なお金を使わず、いかにいい施工をして、いかに長持ちさせるかが管理組合の最大の仕事です。管理会社は利益相反関係にあるので、あてにしてはいけません。 管理組合の自立ためにはいろいろ情報収集や勉強をしていかなければならない。ただし最も大切なのは住民とのコミュニケーションです。住民も終の棲家と考えているとなると、大切なのは「仲良く、自分たちの住まいを良くしていこう」というみんなが共有する感覚です。 昨年の大型台風のとき、理事でもないのに3回もうちのマンション内を見回った人がいたんですよ。損得とかそういうことではないんですよね。淵上氏:マンション内のコミュニティーを設備の面から考えると、マンションの配管は実は専有部分の中に多いのですが、そのための修繕積立金はゼロです。漏水などの問題は専有部分で起こる割合が多いのに予算は共用部分だけ。いざ専有配管の経年劣化がひどく、漏水が頻発すると、管理会社の「専有部分もやりましょう、借り入れしましょう、積立金値上げしましょう」という営業攻撃に合うということなります。 専有部分間の漏水トラブルは当事者間の問題でありますが、管理組合がタッチしないわけにはいきません。佐藤氏:確かに設備の長期修繕計画でのサイクルは、不必要な工事が不必要な時期に入っていて、本当に必要な工事が計画に入っていないと言えます。 専有部分の漏水は住民間のトラブルにつながります。コミュニティーを形成したいのにトラブルが起きてしまうと、垰下さんが口にする「仲良く」の真逆の話になるわけです。淵上氏:専有部分だから管理組合がやるのは法的におかしいという人がいますが、法律にとらわれ過ぎていると、本来直さなきゃいけないところが個人任せになり、コミュニティー形成が難しくなります。佐藤氏:本日の座談会のキーワードは「管理組合の自主性、自立性」、それからいろいろな災害やトラブルに関して求められていく「コミュニティー」という言葉だと言えます。 垰下さんがおっしゃった「いかに家を良くするか」を全建センターがお手伝いするためには、トータル・マネジメント方式、セカンド・オピニオン制度の普及、無料建物調査診断サービス、勉強の一助となるセミナー・無料相談の実施、『大規模修繕工事新聞』やその他書籍の発行のさらなる充実です。 2020年も「家を良く」していく、そういった観点で全建センターも頑張っていきたいと思います。佐藤成幸(さとう・しげゆき)氏 全建センター理事新春!特別座談会

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