大規模修繕工事新聞2019年10月号(第118号)
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2019125..9Point①リフォーム申請・承認条項は多くのリフォーム事案に適用される②マンション標準管理規約コメント添付2の定めが参考となる③フローリング騒音は受忍限度を超えるかどうかで裁判所は判断する④専門家の意見を聞かずに承認した場合、理事長の責任が発生することがある まず、マンション標準管理規約(17条)では、専有部分のリフォームについて、あらかじめ理事長に設計図、仕様書、工程表を付して申請し、理事会の審査を経て、書面による承認を得ることを義務づけています。また規約コメント添付2で審査基準が明記されているので参考になります。 専有リフォームの中でもフローリングについては、床材の規格のみならず、階下に伝わる実際の騒音の大きさ、騒音の発生時間帯、部屋の使用の実態、発生した音の内容などによって、受忍限度を超えているかどうか、裁判所が判断します。<参考>『マンション管理組合のトラブル相談Q&A』著者/中村宏弁護士・濱田卓弁護士発行/民事法研究会A5判・301ページ定価/3,100円(税別))2019年2月発行ISBN:978-4-8655-6271-2 つまり、騒音が受忍限度を超えていれば違法であるという判断がされることとなります。ただし、裁判所の判断は被害者側に厳しい傾向にあります。 承認にあたっては専門家の意見を聞くことが必要です。標準管理規約でもフローリング工事は構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるので専門家への確認が必要であるとされています。 理事会で審査を行わず、漫然と許可していれば、トラブルとなった場合、理事長の責任が発生することがあると考えられます。また審査した理事会で漫然と賛成した理事の責任も問題となります。 その場合の責任の内容は、下階の区分所有者に対する損賠賠償ということになりますが、この点、損害の存否については前記の受忍限度の考え方に従うことになるでしょう。■ 弁護士によるトラブル相談シリーズ専有リフォームで周辺住戸とトラブル申請許可した理事長に責任はあるか

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