大規模修繕工事新聞2019年10月号(第118号)
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2019115..59/22 東京・秋葉原 田島ルーフィング㈱東京支店会議室にて講師:全国建物調査診断センター・佐藤成幸理事(マンション管理士)◆12年周期という概念はどこからはじまったか そもそも大規模修繕工事が12年周期という概念はどこからはじまったのでしょうか。 国土交通省が発表している『改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル』の中で、計画修繕と改修の重要性を解説しています。ここで第1回大規模修繕工事を築12年程度、第2回を築24年程度、第3回を築36年程度という図を用い、「修繕積立金を充当して行う計画的な修繕等を大規模修繕と呼び、通常は10年以上の周期で大規模に実施されます」と説明されているのです。◆18年周期にした場合のメリット 12年周期から18年周期にした場合、管理組合にどのようなメリットがあるかを考えてみましょう。 大規模修繕工事のスパンが長くなるということは、修繕積立金を積み立てる期間も長くなるわけで、当然資金繰りが豊かになります。 また大規模修繕工事を実施するまでの期間が長くなるため、管理組合内部での十分な検討期間(話し合い期間)を有することができます。 全国建物調査診断センターは9月22日、東京・秋葉原の田島ルーフィング㈱東京支店会議室で第42回管理組合セミナーを開きました。当日参加者は約90人。セミナーは回を重ねるごとに盛況さを増しています。 ここから築12年目=大規模修繕工事の時期が独り歩きしたのではないでしょうか。 管理会社も工事受注の営業活動から、12年周期で大規模修繕工事を管理組合に提案する傾向が強いのが現状です。 ただし、近年では各種材料メーカーも高耐久製品やメンテナンスとセットで高寿命の材料を開発、市場への供給が進んでいます。このため12年周期にこだわらず、18年周期を目指すことを発信している管理組合向けコンサルタント等も増えてきています。 築10年くらいで管理会社から建物調査診断の報告書が渡され、2年後に大規模修繕工事の実施提案がなされると、工事内容などその時期に合わせてバタバタ決めてしまう管理組合が少なくありません。 どのような工事をするのか、きちんと準備期間を作れば工事への不安も軽減されると言えます。 18年周期にすることで資金繰りに余裕ができ、検討に十分な時間をかけられ、合意形成しやすい環境が整うことになるのです。<次号につづく>セミナー会場風景※ 国土交通省『改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル』より抜粋全建センター第42回管理組合セミナー「大規模修繕の周期は12年から18年へ」その1

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