大規模修繕工事新聞2019年10月号(第118号)
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..2019115おもしろコラム15ちょっと一息 5G時代の到来で世の中が大きく変わるといわれている。その主役の座をめぐってアメリカと中国がけん制しあっているとのこと。実際には中国のファーウェイとアメリカのグーグルが暗躍しているのだそうだ。 両社ともネット社会での覇者であり、儲け頭でもある。そして、共通しているのが国の垣根をこえてビジネス展開していることである。その結果、国の庇護を受けると見せかけながらも裏では共通の利害が一致しているようだ。彼らにとっては国の概念はもはや邪魔なのかもしれない。 5G時代においては今の通信ボリューム(容量や速度など)が100倍以上になり、放送はもとより、新聞、雑誌、ラジオなど既存メディアに大きく影響が出るようだ。すでにその兆候は猛スピードで出ており、新聞発行部数は激減し、朝日新聞社員の給与を100万円以上ダウンさせても追いつかない。NHKの受信料についても見直すことがクローズアップされているように、既存メディアの在り方が大きく問われている。 小生の古巣の日刊自動車新聞が最近ネット新聞に大きくシフトした。今や自動車関連企業は、その下請企業まで含めて世界規模で経営している。そのため、対象読者は世界中に散らばっているし、従業員も日本人だけではなくなっている。この人たちに業界情報を伝達するのには、新聞の形を維持しながらネット配信するという新しい商品が生まれている。 これまでは、現地で印刷するか、飛行機や郵送でしかできなかった新聞配布がむしろネットで生き残れる可能性が生まれた。小生のような古い時代の人間にとって、ネット時代になってもやはり新聞は新聞の形態で読みたい。見出しがあり、リードがあり、記事があり、解説もある。小さなベタ記事にも時にはヒントがある。記事下の広告も大きな情報源であり、ネット広告のようなしつこさがないのも貴重だ。 AIも大きく変化していて、日本語の新聞が瞬時、しかも安価に各国語に翻訳されて配信できることになる。ネット配信だから新聞社が印刷部門を持つ必要もなくなり、その分野の経費は大きく削減される。 とはいえ5G時代にこそ、むしろ紙媒体の既存メデアが蘇生できると感じている。ただし、読者は国内だけでなく、世界規模となるのだ。そのためには、記者などの人件費や取材経費をケチらず、もっと大きな視野で経営の立て直しをしてもらいたいものだ。新聞だけ消費税の軽減税率を適用されることを了とする既得権益にしがみついた古い頭の経営陣では遠からず時代に遅れて、退場を余儀なくされること必定だ。 ファーウェイやグーグルのような世界的視野を持った経営陣でなければ5G時代は生き残れまい。 (文:ジャーナリスト・井上勝彦/絵:そねたあゆみ)5G時代の新聞

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