大規模修繕工事新聞2019年10月号(第118号)
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..2019105NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2019年8月5日付第443号■マンションの物理的な寿命 マンションの寿命はどのくらいなのでしょうか。マンションの建物の寿命は30年、40年と発していた人たちがいましたが、これはローン返済を終える期間で、その後すぐに別のマンションを買うことを勧める販売促進キャンペーンで、木造の戸建て住宅で言われていたことをそのままコンクリート造りのマンションでも喧伝したのです。 マンションの法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造りの建物で47年、設備は15年です。だからと言って、47年経ったら建物を壊さなければならないということではありません。 マンションは私たちの買い物として、とても高額ですから法定耐用年数が来たからといっても簡単に壊すわけにはいきません。■日本人の寿命 日本人の寿命は昭和22(1947)年は男性50.06歳、女性が53.96歳でしたが、厚生労働省が平成30(2018)年7月20日に公表したものでは男性81.09歳、女性が87.26歳と驚異的な延びになっています。 食・運動・医療・住生活・交通手段など、寿命を延ばす要因が多くあり、さらに私たちの健康志向の高まりが一般化していることも長寿命化につながっています。 今や100年長寿は夢でなく、いかに健康状態を保ちつつ長生きをするかに焦点が当てられています。 医療と健康は密度に関連し、適時・適切に健康診断を行い、「マンション100年化計画ニュース第1号」より疑わしいことがあれば詳しい検査が行われ、いざという場合には入院をして手術などによって適切な治療が実施されます。■マンションの健康管理 マンションの建物・設備も、人の健康管理と同じように考えるとかわりやすいでしょう。 建物・設備を身体に例えると、建物は皮膚や骨と筋肉、設備の中でも給排水管は静脈と動脈といえます。 皮膚は見ること、触れることができる唯一の臓器で、体内の水分の蒸散や体外からの水分や雑菌の浸入を防御している、とても重要な役割を担っています。 皮膚を害すると内臓への影響があることもわかっており、紫外線による皮膚のダメージは体内の変調へとつながります。 屋上防水や外壁塗装などはコンクリートへの雨水の浸入を防ぎ、皮膚のような役割を果たします。 血液は体内に栄養等を送り届けますから、血管が詰まったりすると、それができなくなります。給水管によって水道水を家庭に送り、使用済みなどの水を排水管によってマンションの外に送り出します。 配管が劣化し漏水が起きると、躯体を傷めるなど建物にダメージをもたらします。■100年マンションへの道 建物等の健康管理をしっかりと行うこと、つまり建物・設備の点検を適時・適切に実施することで、建物等の傷んでいる状態を確認できます。 それによって適切な維持・保全が可能となります。 マンション100年時代、その建物・設備の維持・保全の考え方と方法によって、長寿化への道が開かれるのです。(マンション100年化計画研究所)13マンション100年時代の維持・保全

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