大規模修繕工事新聞2019年6月号(第114号)
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..20196513 2018年6月、総務省の有識者研究会が中間報告した2040年問題。今から20年後の2040年にピークに達する人口減社会と高齢化問題を問いかけ、大きな問題になった。 先日、厚木市の会員マンション管理組合の集会所で、3カ月に一度開かれる日住協会員管理組合と近隣マンション管理組合の勉強会で、この問題を取り上げた。 問題を直感的に理解するには「自分の年齢に20歳を足してみて、その年、自分はどうなって、住む団地・マンション、地域の環境はどうなるかを想像してみてください」と問いかけた。 「(その時は)98歳になる。健康ならいいが、この世にいないかな。団地も70歳と超高経年になる。大規模修繕を繰り返すための積立金は順調に集まるだろうか」と表情を曇らせる参加者もいた。 戦後世代のもっとも大きな人口の塊といわれる団塊の世代が2025年には全員75歳になり、2040年には高齢者の数が4,000万人になる。 そのころ、日本の人口は1億人を切るという予測だから、高齢化社会そのものとされる。 2019年、50周年を迎える日住協も、昨年から今年にかけて築50年を迎えた会員の団地が5管理組合を数える。建物もそうだが、住民の高齢化で、80歳を超える住民は確実に増え、管理組合運営の参加は減る。 高齢者は確実に増えたが、栄養と医療の向上で、元気な高齢者は増えていることも確かだ。100歳を超える住民は珍しくない。 それでも、80歳を超える住民に管理運営の中軸バッターとして活躍してもらうのは酷だ。しかし、得意な分野では生き生きとして活躍する高齢住民は確実に存在する。 気になるのは、特に団地で息子世代が団地に見向きもせず、新築マンションをさっと購入して、団地におさらばするケースが一般化したことだ。「この傾向はこれからも変わらないのでは」と断言するのは多摩ニュータウンの不動産会社社長。 親の世代にあり得なかった低金利時代で買いやすくなったことと、旧世代の団地・マンションに比べてサッシ、窓ガラスなどの性能の向上、床暖房など設備の向上も親離れを加速している。 2040年問題を考える上で注意したいのは、人口減少だけでなく、マンションでいえば、増大する空き家問題、管理運営の在り方の変化、増える認知症患者など多くの問題が迫ってくることだ。 しかし、2040年問題が今すぐやってくると早合点して、慌てることは避けたい。対応は徐々に腰を据えて取り組(NPO日住協論説委員会)みたいものだ。 マンションの建物調査から大規模修繕工事までNPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2019年4月5日付第439「論談」より伝統に培われた信頼と技術を提供いたします。東海塗装株式会社リニューアル事業部マンションの2040年問題

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