大規模修繕工事新聞2019年5月号(第113号)
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8<文/全国建物調査診断センター・給排水設備担当:淵上和久>給湯管の漏水増、組合で対応すべきでは? 最近マンションでの配管から漏水は、多くは給湯管からの漏水です。 この漏水は厄介です。必ずと言いていいほど「専有部分(住戸)内」で発生します。 このため下階に被害をもたらします。さらには、この配管は個人の所有物となるので、個人が責任を持って管理・補修しなければなりません。 これも厄介事の一つです。古い建物の給湯管は一般的に銅管が使用されています。銅管は高温に強く、腐食もしにくいため、給湯管として多くのマンションで使用されています。 しかし、この銅管は長年使用してくると、お湯の流れによる潰食(かいしょく=金属腐食現象のひとつ)や、溶存酸素に影響を受けた孔食(こうしょく=同)などが発生し、ピンホールの穴があいて漏水します。 また継手はろう付け接合しているため、継手接合が老朽化して漏水に至る場合もあります。 ただし、銅管の老朽化は調査診断で見つけることが難しいので、マンション内で数件発生したら、専有部分(個人の所有)とはいえ管理組合で対処を考えるべきではないかと思います。 配管は建具や内装材とは違い、老朽化して漏水すると「下階(他人)に被害」をもたらします。「管理規約は変えるべきではない!個人の物は個人で対応すべきだ!」という教条主義的な考え方ではなく、マンションの変化に柔軟に対応しなければならない時代に来ているように思います。排水からの漏水は嫌!割り切れない被害 マンションでの漏水で、これはいやだな…と思うのは、排水管からの漏水です。 他人が使用した排水が、天井から漏れてくる…これはかなり精神的にも苦痛を伴います。 ところが、排水管の漏水は上から下へ、だけではありません。排水口からどんどん排水があふれてくるケースも発生します。最下階にある排水横主管の流れが悪いと、最下階住戸へ排水口から逆流のように排水があふれ出てきます。 この被害にあった住戸を見ると、気の毒に思わざるを得ません。マンションにはトイレの排水を汚水管系統、それ以外の排水を雑排水系統と分けていますが、最下階の横主管で合流するのです。それがあふれ出るわけですから、汚水排水が部屋に入り込む、ということになります。 「このマンションは保険に入っているから大丈夫だ!」という理事さんがよくいらっしゃいますが、保険があるから安心…では割り切れない被害になってしまうように思います。 この被害の実情を書きすぎると、あまりよい内容になりませんので、このあたりにしておきます。北海道支店 東北支店 横浜支店 中部支店 関西支店 九州支店解説と事例マンション設備の改修マンション設備のこぼれ話

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