大規模修繕工事新聞2019年1月号(第109号)
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雇用職員の調整や統制、外部業者の業務調整など。② 経営業務:区分所有者、居住者への通知事項の掲示・記録・伝言の日常業務、家賃や共益費の徴収など。③ 共用部分の衛生と維持:共同ゴミ箱の整理、郵便物の各戸への配布、共用部分の掃除など。④ 屋外共用部分の衛生と維持:建物が面している歩道の掃除、共用緑地スペースの維持など。 さらに選択的に契約業務があり、子どもの預かり、買い物代行などの生活支援業務等によって給与が換算される仕組みとなっている。 高齢者の安否確認、居住者の話し相手などの精神的支援業務は、契約いかんにかかわらず、「当然すべき業務」(金銭的見返りを求めない)であるとされている。■管理体制の中のガルディアンの位置づけ1804年: 共同住宅建設のための法律制定1938年: 同法律に規約、総会、管理者の設置義務等の管理ルール整備1965年: 管理組織を定義(日本の区分所有法にあたる法律となる) 1965年法で定められた管理組織は、区分所有者が形成した組合サンディカ、その組合の構成員の中の数名で構成される理事会コンセイユサンディカル、第三者として管理組織に関与する管理者サンディグで構成される。 法定資格と専門知識を持ち、報酬を得る、プロのサンディカが選出する場合、共同住宅の規模が小さい等の理由で経済力のない組合では、サンディカの中からノンプロ(無償)のサンディガを選出する場合もある。 近年、日本のマンション事情では住民の高齢化、ライフスタイルの多様化などによって、管理組合運営に関わることが難しいという居住者が増えています。高度経済成長期に構築した集合住宅による社会システムとかい離していることといえるでしょう。 そこで『大規模修繕工事新聞』新年号の特別企画として、ここでは関川華氏の著書『パリのガルディアンものがたり』を参考に、日本よりも以前から経験のあるフランス・パリの都市住宅マネジメントから知見を得て、居住者管理の重要性と第三者管理の可能性を探ります。■なぜ、いま、フランスなのか? 本書の柱となるテーマは「居住者管理の重要性を理解し、さらにその限界に目を向けて第三者管理の可能性を探る」とある。 現在の住宅管理は、居住者参加型管理が第一であるとしても、居住者の高齢化や共働き世帯・不在区分所有者の増加等、共同住宅の運営管理の混乱を招き、管理に参加する居住者と参加できない居住者との間に不公平感を引き起こしている。 こうしたことから本書では、居住者参加型管理の限界、その上での第三者管理の可能性に着目している。 では、なぜフランスなのか?1. フランス首都圏の区分所有共同住宅では19世紀からガルディアン(共同住宅の管理員)制度の導入が大衆化しており、第三者管理が共同住宅管理体制に組み込まれている。2. 住宅を都市計画と一体的に着手されており、住宅地、都市という空間的広がりを考慮した持続性を実現しようとしている。 以上のことから、共同住宅管理と都市マネジメントを視野に入れた第三者管理の可能性を探りたい。■ガルディアンの業務 ガルディアンは、日本の管理員のイメージと異なり、共同住宅に住み込みながら相談窓口、建物の見守り役を担っている。【労働協約に記載されているガルディアンの業務】① 一般業務:エレベーターやボイラー室の監視、住棟の<引用図書>『パリのガルディアンものがたり~フランス首都圏の共同住宅マネジメント~』著者/関川 華発行/西山記念すまい・まちづくり文庫A4判48ページ・定価1,080円(税・送料込み)2017年11月7日発売ISBN-13:978-4909395009購入希望は西山文庫あてに必要事項を記入し、メールで申し込む。npo@n-bunko.orghttp://free296.com■本社 〒101-0032 東京都千代田区岩本町1-10-5 TMMビル7F TEL:03-6272-9068■埼玉営業所 〒336-0018 さいたま市南区南本町2-5-15-101 TEL:048-762-9573設計事務所と工事会社の2つを兼ね備えた会社です。大規模修繕工事なら、株式会社フリー・ステアーズにお任せください。■千葉営業所 〒285-0846 佐倉市上志津1658-5 TEL:043-464-7007■横浜営業所 〒220-0041 横浜市西区戸部本町51-15-415 TEL:045-594-9620■四国営業所 〒790-0011 松山市千舟町4-6-4        アヴァンサ千舟916 TEL:089-948-92104診断から工事監理までを社内で実行責任施工で大規模修繕工事を行います。新年号特別企画居住者管理の重要性と第三者管理の可能性フランス首都圏の管理員「ガルディアン」を参考に

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