大規模修繕工事新聞2019年1月号(第109号)
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▶2ネをできるだけ残すように考えた。その結果、修繕積立金は値上げせずに次の工事を迎えられる。これも管理組合役員がマンションの運営コスト削減に日夜努力している賜物です」。 この仕様書や内訳数量書をもとに、工事会社7社に見積もりを依頼した。同じ土俵の上で工事金額を比較検討できるようにしたのだが、まったく同じ工事内容でも金額の「低い会社と高い会社」で1億円もの差がでたという。開放廊下の天井の施工前と施工後。不具合個所を補修し、建物の寿命を延ばす足場の荷揚げにはレッカー車を使用。足場資材は中間ステージを設け、一時仮置きして、ウインチにて屋上まで持ち上げる高層マンションのため、メッシュシートは足場資材の内側に設置し、シートが風で動くのを防ぐコンクリート躯体の下地補修。コンクリートの中性化や脆弱性をチェックする横行昇降3段式駐車場前の足場は、ブラケット足場を設置し、工事期間中も車の出し入れを可能にした外壁タイルの浮き部分をマーキング。補修を行い、躯体を保護、外観を良くする首都圏マンションリニューアル事業部 北海道支店 東北支店 横浜支店 中部支店 福岡営業所 File Data. 124 神奈川・横須賀市/よこすか海辺ニュータウン ザ・タワーハウス管理組合消費税値上げで工事の前倒しを決断浮いた900万円は次の工事資金へ 2014年4月の消費税8%への値上げに伴い、「税金が5%のうちに契約を済ませよう」と13年9月に工事契約を締結。一般的に大規模修繕工事は「12~15年」といわれていることを念頭に置いた上で、ザ・タワーハウス管理組合は築11年目での工事実施を選択した。 元理事長で、現在は顧問を務める前川誠さんは「工事総額が3億円だったので、浮いた消費税アップ(3%)分の約900万円を次の工事資金として残すことができました」と組合が工事を前倒しした決断を説明する。 一方、工事計画の立ち上げは早く、最重要視と位置づけたコンサルタント選びに1年間を費やした。「コンサルタントの良し悪しが工事の成功のカギを握っているといっても過言ではないと考えた」と前川さん。長期修繕委員会で独自にコンサルタント選定チェックリストを考案し、委員会メンバー8人による「無記名投票方式」で最終候補2社から選定した。 コンサルタントに決まった㈱英綜合企画設計は、調査診断から修繕項目、部位、数量を積算してもらい、6カ月かけて70ページにわたる「工事仕様書」を作成した。 仕様書作りで心がけたところは、「まだ築11年なので、きれいにすることを第一の目的とせず、必要な不具合個所の修繕を最重視したこと」だという。「前倒しの工事なので、2回目の大規模修繕工事にオカ管理組合

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