大規模修繕工事新聞2018年12月号(第108号)
22/47

6    講師:㈱リノシス・コーポレーション       佐藤成幸専務取締役(マンション管理士)■第1段階:パートナー施工会社の選定作業 施工会社をパートナーという呼び方にしているのは、「単に見積もり金額が合ったから工事をしました」というような、自分のところの儲けと実績作りのためだけではなく、少しでも管理組合に寄り添いながら工事をするという意識づけの意味、工事の成功に対して管理組合と共に歩んでいく会社であるということを理解してもらうために、期待を込めてこうした呼び方をしております。 第1段階でパートナー施工会社が行うことは、建物調査診断、工事仕様の作成と工事見積書作成、実際の工事責任施工の実施ですが、そのためには実績や技術力、経営的信用力等が求められております。 パートナー施工会社の選定は相当に重要な位置づけであり、いかにして優秀な会社を選定するかが大きなポイントとなります。 プロジェクト・マネジャーの一番大きな仕事は、このパートナー施工会社を選ぶにあたってのより良い環境作りです。 見積書や提案書によるコンペティションの開催。プロジェクト・マネジャーはコンペティションが公正・公平に実施できるよう、統一基準のコンペ要項書を作成し、各社競争のもと、見積書、提案書を提出させます。 最終的にはプロの目線で施工会社を総合的に評価し、管理組合が選定しやすいよう助言を行います。10/21 東京・京橋 住宅あんしん保証本社会議室にて紙 上 採 録プロジェクト・マネジャーの役割①パートナー施工会社が実施する「建物調査」「改修設計」「居住者説明」「工事」の各行為がきちんと契約通りになされているか、また管理組合の利益にかなう内容かを管理組合目線でチェックする。②プロジェクト全般のマネジメントおよびスケジュール管理ならびに予算管理等を行い、管理組合の利益保護を図る立場にて業務を行う。■第2段階:パートナー施工会社による建物調査診断の実施 プロジェクト・マネジャーは施工会社本位の建物調査診断とならないようにするため、事前に調査診断の計画書をチェック。計画書内容に対しての指示や指導を行い、過不足のない調査診断を施工会社に実施させます。 また調査診断時には立会い査察を行い、計画通りに調査診断が行われているかのチェックも行います。■第3段階:パートナー施工会社による改修設計の実施 パートナー施工会社には不具合個所、改修必要個所の工法と仕様の計画書、あるいは詳細の工事コスト案2,3パターンの比較表を作成してもらいます。 このとき、プロジェクト・マネジャーは施工会社本位の工法や仕様、低品質の工事内容になっていないか、妥当な工事コストかどうかチェックします。■第4段階:パートナー施工会社による工事の実施 工事の実施にあたり、パートナー施工会社には、工事管理体制、品質管理、安全管理、工程管理を合理的に進捗させるための資料を提出してもらいます。 特に品質管理については、自主検査の体制等を厳格にチェックするため、検査の時期、検査の回数、検査方法、検査チェックリスト、手直しが発生した場合の方法とその後の再検査方法までを作成してもらいます。 プロジェクト・マネジャーは、自主検査体制にのっとり、順次検査が実施され、手直し補修も含めて記録が有効になされているか、竣工図書に不備がないかをチェックします。大規模修繕工事への取組方法についてトータル・マネジメント(TM)方式の代表的なフローと内容全建センター第35回大規模修繕工事本音セミナー

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る