大規模修繕工事新聞2018年11月号(第107号)
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2018115..9在でも貯水槽の約9割でFRPパネル組立型水槽が使用されています。 FRP製パネル水槽の構造は、FRP製のパネル、パネル接合ボルト、パネル接合パッキン、鋼製架台、鋼製天井梁材、鋼製補強柱で構成。部品点数が多く、プロでないとどれがどこに使われている部品なのか全くわからないことがあります。 また、なぜこのボルトがこの寸法でこの形状なのかも、プロでないと理解できない要因です。 従って、よくわかっていない業者に補修を頼むと、間違ったボルトや部品の使い方をしてしまい、大きな事故(場合によっては死亡事故)につながる可能性があるといえます。 貯水槽の補修は専門業者、できればメーカー系に頼むのが間違いありません。 とはいえ、日本発の技術であるFRPパネル組立型水槽も、直結増圧化の規制緩和により、貯水槽の撤去が増えています。 一部の管理組合では防災用に受水槽を残しているマンションもありますが、その役目は集合住宅では終わりつつあるのかもしれません。FRP製の水槽FRP製水槽の内部東日本大震災により破損したFRPパネル 日本初の近代水道は1887年(明治20年)、英国人技師によりはじまりました。その時の技術の主流が貯水槽方式であり、日本の水道事業は貯水槽が必要な方式を長年用いてきたのでした。 集合住宅が普及してきた1960年代中ごろ、同時に一体型FRP製貯水層(工場で完成品とする)も徐々に普及しはじめました。※FRP(繊維強化プラスチック):ガラス繊維などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料。この錆びないプラスチックのパネルを現場で組み立てて水槽を作るという発想は、日本のプラスチック加工メーカーの技術者が昭和30年代に発想し、開発したもの。日本発の技術といえる。 1975年、旧建設省告示第1597号で、貯水槽は6面点検ができる構造でなければならないことが義務つけられました。また1982年には、旧建設省、財団法人日本建築センターが「給排水設備技術基準・同解説」を発行しました。 ここから現場で組み立てるパネル型のFRP製貯水槽が急速に普及。RC製の水槽が一気になくなりました。 FRP製パネルは軽量、安価、耐食、耐久、耐力等に優れ、現場への搬入および組み立てが簡易ということから、現マンション設備の改修給水:貯水槽について解説と事例

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