大規模修繕工事新聞 103号
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の中で、理事長は責任施工方式を採用した理由を次のように説明していた。 「設計コンサルタントは委任契約で、工事の責任は請負契約の工事会社のみ。責任がないのなら設計に支払う費用より、工事会社に信頼をおいたほうがよい」 管理組合では近隣マンションを施工した工事会社など、8社から見積もりをとり、結果的に㈱カシワバラ・コーポレーションを選定した。 工事での大きな問題は、足場をかけてからタイルの不具合(浮き、ひび割れ、剥落)が多数判明したことだ。これは東日本大震災の影響によるものが多く、賃借人の多い住戸で不具合の情報も少なかったことから、タイルのダメージは実数調査で見積もり時の約5倍みつかった。このためタイルの焼き増しで工期を延長、タイル工事の現場見学会を実施し、近隣マンションに情報提供を行ったパイプスペース(PS)扉の交換消火栓ボックスの交換2 File Data. 117 神奈川県平塚市/ライオンズマンション平塚宝町管理組合工事会社による責任施工方式を採用タイル不具合多数も組合主導で解決 平塚駅から徒歩3分、商業施設が近くて生活の便がよく、ワンルームや1K、1DKタイプ(16㎡~40㎡)の専有部分が半分以上あることから、賃貸率は6割を超える。 このため、居住する区分所有者の理事会が中心になって近隣マンションの工事を見学したり、居住者から不具合の聞き取りなどを行いながら、2回目となる大規模修繕工事のイメージを立てていったという。 今回の工事の特徴は、管理組合が施工会社を選定した上で「責任施工方式」で行ったこと。責任施工方式とは、管理組合が施工会社に修繕工事の仕様作成から施工、チェックまですべてを任せる方式で、設計や工事監理を施工会社とは別の設計事務所等、第三者に依頼する「設計・監理方法」と区別される。 管理組合が無関心で管理会社に「お任せ」のマンションの場合、管理会社による責任施工方式で工事を進めることは多いが、管理組合が自主的に工事専門会社を選定して責任施工方式を採用するケースはさほど多くない。 管理組合では工事中に他の管理組合への情報公開として現場見学会を実施。こ管理組合

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