大規模修繕工事新聞1708(92号)
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 うちのマンションの理事会は輪番制で役員を行うことになっていますが、近年、住戸を賃貸に出し、組合員は遠隔地に居住するケースが増えてきました。また、病気や仕事(海外出張など)の理由から役員を引き受けることができない住戸も増えています。 これでは役員になる住戸が偏り、時間や労力を使って管理組合運営に関わる組合員と、まったく関わらない組合員との間で、感情的な差が生じてきてしまいます。組合員間の不公平を解消するような方法はありますか?化したため、不在組合員に対してのみ、月額5,000円の協力金を求める管理規約改正決議を可決しました。その後、不在組合員から徴収する金額は「住民活動協力金」という名称で月額2,500円に設定変更がされていました。 ただし、このように一部の組合員から特別に金額を徴収するという管理規約の改正は、区分所有法第66条(建物の区分所有に関する規定の準用)および第31条(規約の設定、変更および廃止)第1項後段の「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」場合に当たります。このため、「不在組合員の同意なくしては認められない」として、規約改正を認めず、支払いを拒否する組合員があらわれました。 事件は訴訟になり、最高裁は「本件規約変更により、不在区分所有者が受ける不利益は、月額2,500円の負担であり、在住組合員の負担する組合費に対し、不在組合員は15%増しに過ぎない」と金額の相当性を評価。不利益を受ける180戸の不在組合員のうち、反対者は12戸を所有する5人に過ぎない(ほとんどの不在組合員が月額2,500円の負担に納得している)ことから、特別の影響を及ぼす場合にも当たらないと判断しました。 とはいえ、これから住民活動協力金、管理協力金等、一定の金額負担を採用する場合には、金額の設定などについて十分に検討し、慎重に決めることが大切です。<参考:横浜市発行『マンション管理・再生の手引き』>Q47 賃貸化増え、組合員間に労力差。解消方法は?18リニューアル事業本部ベストアンサーに選ばれた回答役員報酬や管理協力金の方法あり不在組合員2,500円徴収の判例も 同じ建物を区分所有しているわけですから、在住組合員も不在組合員も同じ負担や責任があって当然と考えるのは普通でしょう。このため、役員報酬を設定したり、役員を引き受けない組合員に対して管理協力金を徴収するなど、不公平感を解消している管理組合もあります。 住民活動協力金を認めた最高裁判決(平成22年1月26日)を紹介します。 当該マンションでは、総戸数868戸のうち180戸で賃貸教えて!管理組合交流相談室

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