大規模修繕工事新聞1706(90号)
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 一般社団法人日本マンション学会は4月22~23日、名古屋市千種区の椙山女学園大学・星が丘キャンパスで名古屋大会(第26回)を開催しました。 今大会のメインシンポジウムは「マンションにおいて認知症とどう付き合うのか」をテーマに開催。その他「マンションにおける人の高齢化への取り組み事例」「最近のマンション紛争と裁判」「マンションと費用負担から考察する」など7つの分科会報告を行いました。 このページはメインシンポジウム、第3分科会で取り上げられた「マンションにおける人の高齢化による問題と対処法と課題」をもとに、報告のあった取り組み事例を抜粋、再構成しています。マンション管理業協会 マンションでの認知症高齢化問題は、他のマンション居住者の日常生活に悪い影響を及ぼすことでトラブルになったものを指す場合が多いといえます。 たとえば、マンション内を徘徊して他の部屋のドアを叩いたり、ドアチャイムを押して回ったりといった行動です。 いわゆるゴミ屋敷化や階上からの物の投棄といったような問題も認知症状が関連しているケースもあります。 本人に親族がいる場合は、まず親族に連絡して、対処を依頼する方法が最初の対応として多く取られていますが、単身で親族がいない、もしくは親族の連絡先がわからないことも多く、手詰まりとなるケースがあります。 また、親族に連絡がついたとしても対処に非協力であることも多いようです。 介護の専門職によると、ある程度症状が進行し、認知症に伴う困った行動が見られるようになっても、適切に介護の専門職につなぐことによって症状が安定し、困った行動が落ち着く場合も少なくないといいます。 認知症高齢者の問題に関する事例の収集が必要との問題意識から平成27年、当協会の産業政策委員会において、委員会社16社を対象にマンション居住者の認知症に関する事例の収集を行ったところ、93の事例が集まりました。●調査対象:産業政策委員会社(16社)●調査期間:平成27年11月~平成28年1月●調査方法:アンケート。自由回答で認知症の問題がある場合●回答数:93事例①(75歳・男性・築40年・50戸規模)・漏水が発生。部屋に入ったところ、トイレに汚物が山のように積み上がっていた。・管理費等の滞納なし。部屋には同居人がいた。・買い物姿からはわからず、民生委員も未把握。 ⇒民生委員等へ相談。施設への措置的な収容に至ったが、1カ月以上要した。 ⇒漏水被害の復旧工事に保険は使えず、被害者が復旧を負担した。②(80歳・女性・築20年団地型マンション)・ガスコンロに火をつけ、その上に電気炊飯器を乗せ、火災が発生。幸いにボヤで済んだが、煙が部屋内だけでなく、共用廊下にもうもうと立ち込めた。③(75歳・女性・築30年・100戸規模)・部屋内がゴミ屋敷。異臭に加えて、ゴキブリやハエが発生し、近隣住戸へ迷惑をかける。はヒアリングも実施椙山女学園大学メインシンポジウム会場◆管理会社からみた現状と課題、その対応44/22~23 名古屋・椙山女学園大で開催「マンションにおいて認知症とどう付き合うのか」日本マンション学会名古屋大会マンション管理業協会実態調査リニューアル事業本部

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