大規模修繕工事新聞101号(2018年5月号)
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201855..9 実費精算とは、見積もり依頼に想定した劣化部位の工事数量と、足場をかけてから施工会社によって全数調査で算出した実際の工事数量との差を精算すること。 見積もり依頼時に正確な劣化数量で工事の内訳明細書の数量を設定することは極めて困難である。 図面上で確認できない劣化部位は建物調査時に現地確認を行う。しかし、足場がないため、確認できる範囲は通常歩行が可能な範囲、打診棒などで手の届く範囲となる。 つまり、建物調査の範囲内で確認した不良個所から建物全体の劣化数量を推測し、まずは改修対象となる「想定数量」を設定。この想定数量をもとに施工会社へ見積もり依頼を行うのである。 想定数量はあくまでも通常歩行範囲内等の建物調査であることから、実際に工事を行う劣化数量を確認できるのは、着工後に足場がかかってからの、施工会社による「全数調査」で確認することになるわけだ。 このため、実数が想定値より少ない場合は工事代金の減額、想定値より多かった場合は工事代金の増額になる。そこで管理組合としては、補修工事が増額となった場合に備え、「予備費」を予算化しておくことが必要となる。 予備費の目安としては、工事費の1割というのが一般的だ。とはいえ、「1割程度の差」を予算化したところで、基準はあくまで「想定値」である。想定外の増額となるケースもあるので、管理組合としても理解と、増額になった場合のこともある程度予期しておきたい。 想定外の増額となった場合の対策としては、工事項目に優先順位をつけ、除外や延期ができる部位は次回の工事に回す、タイルなどが剥落しても被害の少ない個所は除外するなど、工事内容の見直しで適正な減額案を検討・選択することがあげられる。劣化タイルのマーキング。足場をかけなければ全数調査はできない大規模修繕工事用語の説明実費精算とは?

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