おもしろコラム 池田平太郎 立ち読み
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当の義家一人が、敢えて教えを乞うたといい、このとき、教えを受けたものこそ兵法法典の最高傑作として名高い「孫子」であったといわれており、これにより義家は間もなく勃発した第二次戦役をわずか三年で片付けることが出来たと言います。いわゆる、後三年の役です。このエピソードは義家の度量を顕すものとして有名ですが、私が言いたいのは、むしろ、「自分では出来もしないくせに・・・」という、世間というものの空気です。理論と実践とは、一対のものであり、「実践無き理論は空論に終わり、理論無き実践は悲劇に暮れる。」と思います。あるいは、このとき、無類の実践者義家も自分の中では、何か限界を感じていたのかもしれません。かつて、小泉総理がその手法を「丸投げ」と批判されました。でも、人間、すべてのことが得意という人は一般的ではありませんし、すべての物を持って生まれてきたという人も、また極めて稀だと思います。そんな天才の出現を待つことは、現実政治においては無責任極まりない話であり、014
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