おもしろコラム 巨椋 修 立ち読み
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ぞうもつ明治に入ってからも『牛鍋』や『すき焼き』に見られるように「焼く」料理というよりも「煮る」料理でした。昔話でも『たぬき汁』は出てきますが『たぬき焼き』は出てきません。また、内蔵料理のことを臓物から「モツ」と呼びますが、日本では「モツ焼き」よりも「モツの煮込み」のほうが一般に広く食されているようです。 ほうが一般的で、お肉を直火で焼く『焼肉』が日本の人々に広まるのは戦後になってからのことなのです。お肉を直火で焼くという料理法は、原始時代に人類が火の利用を発見したときに生まれたものでしょう。そして世界中のほとんどの民族がお肉を焼いて食べています。世界には豚や羊の丸焼きもあれば、ステーキやバーベキューもお肉を焼く料理です。このように、日本ではお肉は「焼く」よりも「煮る」021 第1章 食に歴史あり
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