昭和33年の10円玉 立ち読み
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(寝たのか・・・。それにしても、今の感触は何だったんだ・・・。) そう思い、ふと画面に触れてみた・・・。 すると、画面が水面(みなも)のようにぴたっと手のひらに吸い付いた。 すると、チャポンという音と共に、ずぶずぶっと、手が中に入ってしまっ(どうなってるんだ・・・。俺は疲れているのか・・・。) 次の瞬間、画面の向こうで誰かが私の手をグッと握った。 暖かく、大きな手だった。その手は、もの凄い力で私を画面の中に引き抵抗も何も、あ!っと言う間もない出来事だった。 視界が真っ黒になり、頭は真っ白になった・・・。   瞬間、そのおかしな感触に驚いたものの、そんなバカなと気を取り直し、再び、手のひらを画面の中へと沈ませてみた。 た・・・。   ずり込んだ。        04

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