車体工場経営の知恵と戦略(Ⅰ) - (著)井上勝彦 - 立ち読み
21/28

第3章車体整備とは一一一である。しかし、従来からの業界の通念である「塗膜が劣化した車は全塗装するべきだ」というような考えでは全塗装需要を今以上に拡大させることは難しい。日差しが強く、砂漠地帯などは砂ぼこりの中を走る(サンドプラスタl状態)こともあるカルフォルニアやアリゾナ地区では、塗膜の劣化が激しい。このため、低価格をうたった全塗装チェーン工場は、筆者が最初に米国業界視察に参加した三十年も前からすでに盛んであった。しかし、さすがに、北部地区では、あまり見られなくなったか、飯金修正部門も加味した工場に模様換えしているようだ。ライン塗装にしても、補修塗装にしても塗膜の品質が大幅に向上していること、道路の舗装率が格段に向上していること、湿気のある気候、車齢が古い車を乗り続けるユーザー層がない、ひMLかくだんほそう契約社会ではないことなど、日本の風土では、アメリカタイプの全塗装システムをそのまま導入たのでは成功は難しいようだ。従って今後の経年全塗装は塗膜の劣化した車を追い求めるのではなくむしろ、塗膜をカlファッションの最重要要素として位置付けることが大切だ。そうすると全塗装は新車を含む全保有車両へとその対象がいっきに拡大する。ひとことでいえば全塗装は修理でなくファッションであると位置付けるところからスタートすることである。春、秋、とそれぞれその年のファッションカ残っていても(それが流行に合わないというだけの理由で)ユーザーに(当然のように、かっ、満足感を与えながら)新しい口紅を購入させる。同様の手法で車の色は塗り替えるものだと、ユーザーに思ってもらえるようになるか否かがラlを口〈ちベ紅に業界で設定し、まだ昨年のものが-69-

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る