hoto俳句2018年10月号
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昼寄席の送り太鼓や秋薄暮 午後から、上野鈴本演芸場の昼席に入る。昼席の入場料は2800円とリーズナブルだが、一応、高齢者割引の有無を窓口で問うと、無いという。会場は8割がた高齢者、割引無しに納得。柳家さん生の落語もよかったが、三味線漫談家である三遊亭 小円歌が2代目立花家橘之助になっていたのにびっくり。83年ぶりの橘之助襲名だという。彼女の枕詞「こんないい女の芸者を呼んだら2800円では済まないわよ」に納得。8歳にして真打昇進したという天才の初代の芸である浮世節を継承していく意気込みは見事。4時20分、送り太鼓にせかされて外に出る。少し黄昏てきた上野の街の飲み屋はすでに開店している。後ろ髪を惹かれながら、帰路の電車に乗った。

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