photo俳句 2018年4月号
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八重桜カッパ鎮座す唯称寺唯称寺本堂の屋根に1対の河童が座っている。この河童には、次のような伝説がある。中吉原宿時代のこと、住職の夢に白髭の翁が現れ、「和田川に住む河童です。先の大水で農具が流れてきて、巣の入口に引っかかってしまい難儀しています。どうかこれを取り除いてください」と頼んできた。明日、住職がその場に行ってみると夢のとおりのあり様で、これを取り除いてあげた。するとその晩、再び河童が夢に現れ、川の底で拾った茶壷と魚2匹をお礼にと、差し出し、「この寺が火難水難にあわぬよう、末代まで守ります」と告げた。明朝、住職が玄関に出てみると、くだんの茶壷と魚が置いてあったという。以来、この寺は火事に遭ったことがなく、明治29年の吉原大火でも類焼を免れている。

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