見積り事典-tr
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愛知県のある二代日経営者から「先日なくなった父の部屋で‘見積り事典を見つけました。いつも汚れたツナギを着て、一生懸命働いていた父でしたが、本など読んでいた姿は一度も目にしたことがありませんでした。ところが、この事典には赤線や書き込みが随所に見られ、手垢で黒ずんでいました。隠れたところで、こんなに努力していたのかと、改めて、父の偉大さを思い知りました。Jとの電話があり、自分も父に習って見積りの勉強をしたいので、改訂版を早く出してほしいと要請されました。このほか、多くの方々から、料金資料や料金をとりまく環境が大きく変わったのに改訂版はいつ出るのかとか、2代目に見積りを教えたいので改訂版を出してほしいとの要請が数多く寄せられました。改訂版を出すと、何度もアナウンスしたものの、筆者に若い時代の馬力がなく、関係資料のみ量を増してきました。今回、なんとか発行にこぎつけられたのは、重い病におかされた妻が生きている内になんとか出来上がった本を見せたいとの強い思いがあったからだと思います。前書の編集では、損保側の情報公聞がほとんどなく、手探りの状態で、の執筆だったため、推測に頼らざるをえなかった項目も多々あり、記述ミスもいくつか指摘されました。今回は、指数テーブルの内容がほぼ固まったこともあり、損保サイドも、質問事項には原則的に全て答えるかたちでの情報公聞がありました。このため、得られた資料をいかに分かり易く編集するかに心をくだきました。仕しい中、筆者の度重なる質問事項にも真撃に回答いただいた自研センターのお客様相談室担当者各位や、旧知のアジャスター各位に改めて感謝の意を表します。また、北多摩自動車の林社長、B新自動車鍍金の曽根工場長には、何度もこころよく貴重な時間を割いていただきました。インターネットの筆者の頁にも、見積りに関する質疑が数多く寄せられています。今回の改訂版編集に際しては、これら現場から貴重な情報も極力収録しました。指数テーブルは「共通のモノサシ」であり、料金問題のルールブック、法律書ともいえるものです。料金については、損保と修理業界の上にユーザーがいることを忘れてはなりません。ユーザーに対し、アジャスターは検事の役割があり、フロントマンは弁護士の役割があります。指数テープル(法律)の適正な運用により、適正な料金を決定し、支払うことが、検事の立場のアジャスターに諜せられた責務です。一方、指数テーブル(法律)の適正な運用により、正しい損傷診断を行い、ユーザーに完壁な修理を提供するのがフロントマンの責務です。立場とアプローチは対峠する両者だが、ユーザーの利益を第1に考え、プロどうしの理論闘争をする中で、適切な事故車の修理が完成するよう互いに研鎖し努力する必要があります。どちらか一方だけが、優位に立ったり、実力差があっては、ユーザーの利益から掛け離れたものになります。白研センターの初代社長・島田啓助氏が、同社設立初期の記者会見で「損保業界と修理業界の言葉を互いに理解することから始まった。」と損保と修理業界の混合チーム体制でスタートした同社運営の苦労を述懐したが、指数テーブルの見方についても全く同じことがいえます。資料を作った損保側では、指数テーブルを素直に読めばわかる筈だとd思っても修理業界側の言語に翻訳しないとわからないか誤解する場合があります。指数テーブルは事故車修理料金体系としては、世界に例のないほど綿密かつ、合理的に出来ているものの、損保のものの考えかたが理解できない築業種の者にとっては分からない点が多々あります。(損保側で別に秘密にしているわけではないのだが)当書は、このように、両業界の意識の議離を縮める翻訳辞典としての役割も持たせたつもりです。なお、車体整備工場の受注環境が厳しい現状を鑑み、フロントマンの役割を単なる見積りマンから営業の出来るフロントマンに変身させるノウハウも盛り込みました。筆者の年齢からすると、次の改訂版の発行は体力的にも難しいので、当書の内容を全てCDに収録し、付録として添付しました。このCDはインターネットとも連動しており今後の内容改訂は、インターネットを通じて(当書購入者に)無料公開していくこととしました。当書がフロントマンはもとより、アジャスターにとっても、修理業界の考え方を理解していただくための何らかの参考になれば幸いです。なお、当書執筆、編集に際して、北多摩自動車の林孝俊氏を始め車体楚備工場の多くのフロントマンに監修をいただいた他、カーメーカ一、カーデーラ一、機会工具メーカ一、塗料メーカ一、自研センター、日本アウダテックス等々、多くの方々から資料の提供をいただきました。最後に筆者が事故車見積り研究をはじめたキッカケとなり、指数方式定着にあたり修理業界側の立場で尽力し、志半ばで逝去した故中川雅孔氏の霊前に当書をささげます。-002-

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