大規模修繕工事新聞2019年7月号(第115号)
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NPO日本住宅管理組合協議会マンション管理総合研究所/『マンション管理の「なぜ?」がよくわかる本』より 千葉市は従来の管理組合と自治会との間に一線を画すという方針を改め、今後は一定の条件を備える管理組合については、これを自治会と同じ「地域団体」としてみなすことにしたというのである。 その理由として千葉市は、「管理組合と自治会が並存しているマンションへの負担軽減」をあげている。 すなわち、管理組合役員の担い手不足が言われている昨今であるが、その問題は自治会でも同様であり、こうした中では1つのマンションにおいて、管理組合と自治会の2つの組織をつくり、それぞれの役員を選出するのは負担が大きすぎるので、管理組合という1つの組織において「地域コミュニティ」活動を行うことが適切であろうというわけである。 管理組合内部で現理事会と前理事会で意見の対立が感情的になっています。 総会で罵声が飛び交ったり、中傷合戦に発展したりしています。 マンションは生活の場ですから、住民は「こんなマンションを買ってしまった」と非常に暗い思いで毎日暮らしています。どうにかならないものでしょうか。 マンション標準管理規約における「コミュニティ条項」をめぐって議論が起きているが2014年4月、千葉市が「管理組合を自治会と同様に取り扱う」としたことが注目を浴びた。合理的判断といえよう。 なお、「一定の条件」というのは、管理規約に「コミュニティ形成」の条項が記載されているということである。 つまり、千葉市はマンション標準管理規約の「コミュニティ条項」を積極的に捉え、これをもって管理組合の「地域団体」性を担保するという考えで、ここでは「コミュニティ条項」は有意な役割を果たしている。 また、管理組合を「地域団体」として取り扱っている他の自治体もあるが、その条件では規約第1条での「良好な住宅環境を確保…」、第32条の「規約の中身まで確認してはいない」ところもあるという。 結局、管理組合と自治会との「線引き」議論は意味がなく、むしろ管理組合を自治会と同じ土俵に上げることにより、コミュニティ議論を深めていくことが重要と考えられる。 その意味で千葉市の方向転換を契機に、さらに多くの自治体が管理組合を地域コミュニティとして位置づけていくことを期待したい。 迷惑行為が出てくることも考えられます。区分所有者から理事会への過度な権利主張や、過去の些細なミスに対する責任追及などによって理事会が機能停止になりかねません。 そういう状況を作らないためにも居住者間のコミュニケーションに配慮し、普段から開かれた民主的な管理組合運営を心がけることが大きな意味を持ちます。○対立解消のために心掛けたいこと ① 役員は組合員が考えていること、感じていることに常に注意を払う。 ②常に情報を公開しながら進める。 ③ できるだけ多くの組合員が話し合いや決議に参加するようにする。 ④ 意見の違いが人間関係の対立につながらないようにする。 ⑤ 白か黒かではなく歩み寄ることも必要。 ⑥少数意見の人を孤立させないよう努力する。 ⑦ 議論を尽くして決まったことには従うという風土を作る。 ⑧明らかな不法行為に対しては迅速に対応する。   <参考:マンション管理センター発行(NPO日住協マンション管理総合研究所)『新任理事のための基礎講座』>Q69 内部対立でマンション内が荒れています10管理組合を地域コミュニティとして扱う自治体ベストアンサーに選ばれた回答コミュニケーションに配慮少数意見を孤立させないように 管理組合内部の対立は複雑に絡み合っていて単純なものではない場合が多く見られます。例えば現理事会と前役員との間に意見対立があったとしても、実は人間関係のトラブルが根底にあるというようなケースがあります。 内部対立は、重要事項の合意形成に深く影響します。どちらのグループが理事会の主導権をとっても、対立するグループが必ず反対するというような状況では管理組合運営が進行できません。 また、個人に対する中傷文書の配布、いやがらせ等の教えて!管理組合交流相談室

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