大規模修繕工事新聞2019年4月号(第112号)
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10『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』著者/日下部理絵発行/小学館四六判・191ページ定価/1,400円(税別))2019年2月発行ISBN:978-4-09-310874-4『若葉台団地/夢の住まい、その続き』著者/根本幸江発行/幻冬舎メディアコンサルティング四六判・187ページ定価/1,000円(税別))2019年1月発行ISBN:978-4-344-92010-1NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2019年1月5日付第436「論談」より◆監事は組合員に責任 監事は管理組合の総会で、理事とは別に直接選出され、理事会が法令や規約、総会決定にそって業務をしているかを監視するのが任務である。 したがって、選出された総会に直接責任を負っている。監査報告は理事会に対してするのではなく、直接組合員に対して行う。 監事は理事会に出席し、理事長や理事に意見を述べることができるが、理事会は、その意見に必ず従うべき義務はない。監事と理事会の間に意見の相違があれば、最終的な判断は総会での組合員の意思で決まる。 どこの管理組合の総会議案書でも「監査報告」が載っており、監事の署名なつ印(コピーあるいは写し)がつけられているのが通例である。 理事会が発行する議案書に掲載されているが、監査報告のページだけは作成の責任者が異なっており、理事会ではなく、監事である。 独立の文書にするとかえって不便になるので、便宜上で議案書に一括されているだけのことである。◆監事報告つくる責任 先日、「監事が(監査報告に)署名なつ印を拒否したので総会ができない」とマンション管理士が言うので困っているとの話を聞いた。 確かに監査報告は総会の必須事項だが、監事の都合で監査報告が出されなかったといって、総会が開けないということはない。 そもそも監事は、自ら適当と思う監査報告を作成する権利と義務があるのだから、「署名拒否」など本来はありえない。 会計や業務が適正か不適正化を自分で判断し、その理由を書けばよい立場にある。監査報告をつくる責任は監事にあって、理事会にはないのである。◆監事の強大な権限 万一理事会に不正や不当な行為、あるいは総会の決定の大幅な逸脱などがあった場合には、監事は総会の招集を含む強大な権限をもっている。 現に最近、監事が総会を招集して、総会決定を実行しない一部理事の罷免を提案・可決した事例で、監事の行為が正当なものとして裁判所に認められた例がある。 監事には、自らの権限を有効に利用し、組合員のために理事会とは別の角度から、大いに努力することを期待(NPO日住協論説委員会)するものである。『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』 自宅マンションが「負動産」なのか、「富動産」なのか、せめて「普動産」であってほしい…まず本書にある「負動産度チェックリスト」「共用部分チェックリスト」で診断。自宅マンションの現状を把握したのち、どのように「負動産」を「富動産」に変えたらよいのか、その方法が説明されていく。「自分でも出来る工夫や知識ひとつで、1000万円以上の価格差が出たりする」とも。 巻末には「負動産」を「富動産」に変えたサクセス事例を紹介。スタイリッシュなリノベーション、焦らず粘り勝ちなど、「負動産」から脱出するマニュアル本として活用できる一冊である。『若葉台団地/本の紹介あらためて監事のあり方を考える夢の住まい、その続き』 横浜市旭区に立地する若葉台団地は15管理組合66棟5,195戸、横浜市住宅供給公社賃貸住戸7棟790戸、ほか店舗等、計約6,300戸・約16,000人が生活を送る大きな街。 この若葉台団地に30年以上住み、7年間『わかば通信』を取材・編集してきた著者が「100年マンション」を追求する若葉台団地の共同体のあり方を1冊にまとめた。 この若葉台地区では独自に組織する管理組合協議会においても『100年マンション憲章』を掲げ、各管理組合の共通の問題を協議し、生活環境の改善、組合運営の向上を図っている。本書でも「若葉台を終の棲家にしたい。限界集落にならないように」という住民の声を載せている。

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