大規模修繕工事新聞2019年4月号(第112号)
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201945..7 「こんな」大規模修繕工事はやまめしょうの「こんな」を紹介します。「こんな」大規模修繕工事ならやめたほうがいいでしょうという事例です。■管理会社から「築12年になったから」と言われたケース 「築12年経過したら国土交通省のマニュアルでも大規模修繕工事を実施することになっていますので、やならいとダメです。何かかったら大変ですよ」と管理会社からの提案が理事会にあります。 よくわからないので詳しい説明を求めると、管理会社からはフロント社員と別の担当者を出してきて、「建物調査をしました」と言って、説明をはじめます。調査結果の内容は「ここが悪い、ここが破損している」であり、最後は大規模修繕工事が必要という結果となり、すべて管理会社の提案ありきで工事を進めてしまいました。■ 管理会社から「長期修繕計画で大規模修繕工事の年です」と言われたケース 「長期修繕計画で大規模修繕工事の年なので実施しないとだめですよ。来期の理事に申し送ると迷惑ですから」と管理会社からの提案が理事会にあります。 理事会では「そういうものかと思い、それでは検討をすすめましょう」と、その月をスタートとして検討準備をはじめ、工事着工から工事完了までの月単位の詳細スケジュールが出されました。結局、それに則り工事を進めてしまいました。2/24 東京・京橋 住宅あんしん保証本社会議室にて紙 上 採 録■ 管理会社から「調査診断だけだからやったほうがよいですよ」と言われたケース 「そろそろ大規模修繕工事の時期なので調査診断だけでもやっておいたらどうですか」「あくまで準備で工事を実施するわけではありません」と管理会社からの提案が理事会にあります。 調査診断だけならと、さほど考えずに行った結果を聞くと、「ここが悪い、ここが破損している」。最後は「大規模修繕工事が必要」という結論。それと合わせて今後の工事の進め方という提案説明がほぼ同時に行われました。 コンサルタント方式、責任施工方式、管理会社方式などという選択肢を示され、よくわからないままにコンサルタント方式と言えば、会社案内と見積書が3社程度用意されていて、「ここから選らべば間違いない」と言われ、そのとおり工事を進めました。■ 管理会社から次回総会に「大規模修繕工事の予算計上だけしておきます」と言われたケース 理事の任期切れ間際の理事会で、来る総会議案書の案の審議を行ったが、来年度予算案に管理会社作成の大規模修繕工事見積書と費用の計上がされていました。 質問すると、「予算をとるだけで検討と実施は、来期の理事にやってもらうので」と言われました。それなら自分と関係ないと思い、そのまま理事会で承認して総会を開催し、原案どおりに予算案も承認されました。 新規理事に交代した初めての理事会で、管理会社が「前期理事の提案により、総会で予算承認が取れているので問題ありません」「速やかに工事を実施しましょう」と説明されました。<まとめ> 管理組合の不安を必要以上にあおり、この機会に乗じて仕事を取り込もうとする管理会社やコンサルタント、施工会社があります。 また、管理会社に加え、コンサルタント不信も近年指摘されるようになりました。 施工会社と管理会社がつながり、管理会社の下請けにもぐり込む手口も見受けられます。 管理組合が自立せず、主導とならない大規模修繕工事であれば「やめましょう」。事例のケースは「お任せ」から原因です。組合主導の大規模修繕工事をやりましょう。 全国建物調査診断センターは2月24日、東京・京橋の住宅あんしん保証本社会議室で第39回大規模修繕工事本音セミナーを開きました。当日参加者は約100人。セミナーは回を重ねるごとに盛況さを増しています。こんな大規模修繕工事はやめましょう!大規模修繕業界の闇を拓く!   ●講師:㈱リノシス・コーポレーション       佐藤成幸専務取締役(マンション管理士)セミナー会場風景全建センター第39回大規模修繕工事本音セミナー

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