大規模修繕工事新聞 103号
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完成時の北側外観北側のバルコニー内ガルバニュウム鋼板2を説明したところ、「なんとか賛成を取り付けた」(羽山教授)。 とはいえ、「アベノミクス、震災復興、東京オリンピック開催決定などによる建設物価上昇の影響からか、外断熱工法による大規模修繕のコストは予算から1.3倍に増えた」とも。 当初は積立金会計で十分工事費を賄う予定だったが、銀行からの借り入れ(5年返済)も加わることになった。それでも外断熱工法により、次回の外壁修繕は30年後になるなど長期修繕計画を見直し、臨時総会も「乗り切った」という。 File Data. 116 北海道札幌市/カルム円山管理組合高圧一括受電で修繕積立金を確保外断熱改修による大規模修繕の挑戦 1階はエントランスと駐車場。2階~14階に1フロア2住戸で建設された小規模マンションでは「管理費もさることながら修繕積立金がなかなか増えず、苦しい管理組合運営を強いられていた」。5月20日、日本マンション学会北海道大会の見学会で最初に訪れたカルム円山で、区分所有者である羽山広文・北海道大学教授がそう話した。 羽山教授が理事長に就いた2006年、将来の大規模修繕工事に備えた資金確保のため、マンション全体の高圧一括受電方式を提案。定期総会で全戸賛成、2007年5月から高圧一括受電を開始した。 経済効果としては電力の個別契約と比較し、戸当たり年間5万円相当の電力料金の削減ができ、各戸の負担なく修繕積立金の約50%値上げが実現できたという。 2014年、羽山教授の2回目理事長就任時、大規模修繕計画に着手。簡易診断を行い、一般的な大規模修繕と外断熱工法の2通りの設計・積算をもとに定期総会で選択を図った。 高圧一括受電によって修繕積立金が確保したこともあり、断熱改修によるエネルギー消費量や室内環境の向上管理組合

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