大規模修繕工事新聞1709(93号)
25/28

201795..9 これは、ある施工会社営業マンからの投稿話である。 某マンションの見積もり合わせで、施工会社3社の1社に残った。この物件、とにかく取りに行こうという社内方針のもと、できる限り平身低頭、管理組合の言うことを聞いた。 ヒアリング時に再提出した見積もりで200万円下げて、ヒアリング中の口頭で100万円減。さらに「除外しようと思う工事項目があるから、もう50万円値引いて欲しい。そうしたら理事長の権限で、最終ヒアリング業者に残そう」と言われたので、それも了承した。 ところが、それから1カ月経ってもなかなか内定がもらえない。正直いつまで引っ張られるんだろうとウンザリしていたが、ニンジンぶら下げられているから飲まないわけにはいかない。管理組合の言葉を待つまま、時間が過ぎ、そのうち、担当する予定でいた現場代理人が出席していた別の物件で内定が出た。 仕方がなく、理事長に相談して、辞退したい旨を告げると、理事会、修繕委員会、設計コンサルを交えた話し合いに呼ばれた。 「損して得取れ」という言葉がある。初めは損をしていても、後の大きな利益につながるようにしなさいというような意味である。 逆にとれば、得ばかりを考えていると後に損しますよ、と言うこともできる。 まずは経過を説明。現場代理人が残っていないことを理由に辞退を報告した。 すると、「とんでもない会社だ」「二股掛けていたのか」「勝手すぎる」と非難の声が飛び交った。 なぜ?内定を受けていたわけでもないのに。しかも、わざわざ辞退を申し出た席。礼節も尽くしているつもりだ。 「最終選考結果がでるまで現場代理人を空けて待つのが普通だろう」「なぜ二股をかけていることを告げない。常識を疑う」「現場代理人は他の営業所から呼べばいいだろう」「迷惑掛けているのはそっちだから、何とかしろ」 こうした怒りの声が延々とループし、こちらはどうにもならないので謝罪して一応終了。 後に聞いたところによると、他の2社より1,000万円安く入札しており、実はほぼ当社に決まっていたとのことだった。一番札が辞退するんだから、ああも理事会が怒った(慌てた?)のだろう。 ところが当社はそんな事情知らないわけだから、責められるのは理事会、もしくは設計コンサルであって、こちらじゃない。 自分たちの都合で損得勘定していたら、結果、工事費が1,000万円高い2番札の会社に決まったのだった。 管理組合が発注者だからといって、すべて上から目線で話を進められるものではない。相見積もりも施工会社にとっては大事な仕事。管理組合の「数合わせ」ではない。お互いの「立場」を尊重してもらいたいものだ。 結果的に「損」を取った管理組合、辞退した当社に投げかけた言葉「常識を疑う」は、「そのまま管理組合にお返ししたいよ」とさえ思えてくる。首都圏マンションリニューアル事業部 北海道支店 東北支店 横浜支店 中部支店 福岡営業所―ある施工会社営業マンからの投稿話―管理組合都合の損得勘定で、結果「損」取る

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る