おもしろコラム 巨椋 修  立ち読み
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ことをはじめるようになります。多くの人は、人間が農業や牧畜をするのは、より楽に食べ物を獲得するためと思っていることでしょう。しかし最近の研究によると、農業や牧畜をするよりも、狩猟採取生活のほうが、はるかに楽であることがわかってきました。狩猟採取生活では、必要な食べ物を必要なだけとればいいのですが、農業や牧畜をすることで、「多くの食べ物を貯蓄している者」と、そうでない者の身分格差が生まれることになります。狩猟採取生活よりも重労働をし、身分格差を作ってまで、人間が農業や牧畜をはじめたのは、おそらくより確実に、食べ物を身近に置いておきたかったからではないかといわれています。牧畜は、人間の食べ残しをあさってくるイヌやブタを家畜化したり、群れで行動するヒツジやヤギ、ウシなどに近づき、馴れさせて利用するということが行われたようです。018     

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