おもしろコラム 巨椋 修  立ち読み
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いくらいの、衝撃的なことであったに違いありません。火を手に入れた人類は、明かりと暖かさだけではなく、固く冷たかった食べ物を、柔らかく温かくして食べることができるようになり、また多少傷んだ食べ物でも殺菌して食べることが可能になりました。火を使って食べ物を焼く、温めることを知った人間ですが、当初は木の枝に刺して火にあぶったり、直接火に放り込むくらいしか方法がありませんでした。食べ物を、より多様に料理するためには、鍋のような器が必要なのです。もしかしたら土器などを発明する前に、地面に穴を掘り、その穴で火を燃やし、熱くなった穴の土や石の熱を利用して料理をしたかも知れません。これまでは、ただ直火で焼くだけのものであったのが、熱した穴に大きな葉っぱで食べ物を何重にも包み込んだものを入れることで、食べ物を『蒸し焼き』にすること●器の発明    015 第1章 食に歴史あり

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